子どもが泣いているときの声かけ|気持ちを受け止める親の言葉
子どもが泣いているとき、
「そんなことで泣かないの」
「もう泣くのやめなさい」
と、つい言ってしまうことがあるかもしれません。
けれど、子どもにとって涙は大切な気持ちや感覚の表れです。悲しい、悔しい、不安、びっくりしたなど、さまざまな思いがあふれたとき、子どもは泣くことでそれを表します。
すぐに泣き止ませようとするのではなく、まず気持ちに目を向けることが大切です。ここでは、子どもが泣いたときの声かけについて紹介します。
NGワードのタイプと言い換えの方向
子どもが泣いているときに、つい出てしまう言葉にはいくつかのパターンがあります。言葉のタイプごとに見ていくと、避けたい言い方と、代わりに使える声かけがわかりやすくなります。
1. 気持ちを否定する言葉→ 気持ちを受け止める言葉
子どもが感じている悲しさや悔しさを、小さく扱ってしまう言葉です。大人にとっては小さなことでも、子どもにとっては大きな出来事であることがあります。
ここでは、正しいかどうかよりも、子どもがどう感じたかに目を向けることが大切です。
- 「そんなことで泣かないの」
→ 「悲しかったんだね」 - 「大したことないでしょ」
→ 「つらかったんだね」 - 「泣くほどのことじゃない」
→ 「泣きたくなるくらい嫌だったんだね」
2. 泣く行動を止めようとする言葉→ 落ち着くのを助ける言葉
涙の理由よりも、まず「泣くのをやめること」を求める言葉です。親としては早く落ち着いてほしい気持ちから出やすい言葉ですが、子どもには「気持ちより泣くこと自体が悪い」と伝わることがあります。
この場面では、泣き止ませることよりも、気持ちが落ち着くことを優先する言葉が役立ちます。
- 「もう泣くのやめなさい」
→ 「落ち着くまでそばにいるね」 - 「いつまで泣いてるの」
→ 「落ち着いたら話そうか」 - 「早く泣きやみなさい」
→ 「ゆっくりで大丈夫だよ」
3. 強く抑えつける言葉→ 安心させる言葉
親のいら立ちや焦りが強く出やすく、子どもを圧迫しやすい言葉です。命令や叱責が前に出ると、子どもはさらに緊張したり、気持ちを出しにくくなったりすることがあります。
ここでは、まず子どもが安心してその場にいられることが大切です。
- 「いい加減にしなさい」
→ 「今つらいね」 - 「黙って」
→ 「大丈夫、ゆっくりでいいよ」 - 「もう知らない」
→ 「落ち着いたら話を聞かせてね」
4. 大人の都合が前に出る言葉→ 子どもに配慮する言葉
親が余裕をなくしているときや、周りの目が気になるときに出やすい言葉です。悪気がなくても、子どもには「自分の気持ちより、大人の都合のほうが大事なんだ」と伝わりやすくなることがあります。
この場面では、大人の事情をそのままぶつけるのではなく、子どもが落ち着ける形に言い換えることが大切です。
- 「うるさいから泣かないで」
→ 「ここで少し落ち着こうか」 - 「今それどころじゃないの」
→ 「今すぐは難しいけど、あとでちゃんと聞くね」 - 「恥ずかしいからやめて」
→ 「つらいね。少し静かなところに行こうか」
ひとこと
子どもが泣いているときは、
気持ちを受け止める → 落ち着くのを助ける → 安心させる → 子どもに配慮する
という方向で言葉を選ぶと、言い換えやすくなります。
それでも泣き止まないときは?
言葉をかけても、すぐに泣き止まないことはあります。感情が大きく動いているときは、言葉よりも「落ち着ける時間」が必要なこともあります。
そんなときは、無理に泣き止ませようとしなくて大丈夫です。そばにいて見守ったり、背中をさすったり、静かに寄り添うだけでも、子どもは少しずつ落ち着いていきます。
気持ちがやわらいできたタイミングで、「さっき悲しかったんだね」「悔しかったね」と改めて声をかけてみましょう。泣いたあとに話すことで、子どもも自分の気持ちを言葉にしやすくなります。
泣いている時間は、子どもが感情を整理している時間でもあります。すぐに止めようとするより、落ち着ける環境の中で気持ちが整うのを待つことも大切です。
年齢別のポイント
赤ちゃん(0〜1歳)の場合
0〜1歳の赤ちゃんは、泣くことでしか自分の状態を伝えることができません。お腹がすいた、眠い、不安など、さまざまな理由があります。
赤ちゃんの泣きへの対応は幼児とは少し考え方が異なるため、このテーマについては別の記事で詳しく紹介します。
2〜3歳
この時期の子どもは、まだ自分の気持ちを言葉で説明することが難しく、泣くことで感情を表すことがよくあります。まずは「悲しかったね」「悔しかったね」と、気持ちを代わりに言葉にしてあげることが大切です。
また、この頃は気持ちの切り替えがまだうまくできません。おもちゃが思い通りにいかなかったり、やりたかったことができなかったりすると、感情が大きくあふれてしまうことがあります。安心できる声で寄り添い、落ち着く時間を一緒に過ごすことが大切です。
4〜6歳
少しずつ自分の気持ちを話せるようになってくる時期です。落ち着いてから「どうしたの?」と聞いてあげると、子どもは自分の言葉で話しやすくなります。
この時期は「悔しい」「悲しい」などの感情を少しずつ理解し始める頃でもあります。親が「悔しかったんだね」「びっくりしたね」と言葉にしてあげることで、子どもは自分の気持ちを整理しやすくなります。こうした経験を重ねる中で、感情のコントロールも少しずつ育っていきます。
小学生
友達関係や学校での出来事など、泣く理由も少しずつ複雑になります。すぐにアドバイスをするより、まず話を聞くことが大切です。
小学生になると「泣くのは恥ずかしい」と感じる子も増えてきます。そのため、強く問いただしたり、すぐに答えを出そうとしたりすると、気持ちを話しづらくなることもあります。落ち着いた雰囲気で「話したくなったら教えてね」と伝えることで、子どもは自分のタイミングで気持ちを話しやすくなります。
中学生・高校生
思春期になると、人前で泣くことは少なくなりますが、心の中では強い感情を抱えていることがあります。そんなときは、解決策を急ぐよりも「つらかったね」と気持ちに寄り添う言葉が力になります。
この時期は自立心が強くなり、親に気持ちを見せることをためらうこともあります。そのため、無理に聞き出そうとするより、「いつでも話していいよ」という姿勢を示すことが大切です。安心して話せる関係があることで、困ったときに子どもから気持ちを打ち明けやすくなります。
まとめ
子どもが泣いているとき、親はつい「泣き止ませなければ」と思ってしまうものです。けれど、その涙の背景には、言葉にできない気持ちが隠れていることも少なくありません。
そんなときに大切なのは、すぐに何とかしようとすることよりも、まず「そう感じたんだね」と受け止めることです。「悲しかったんだね」「悔しかったんだね」と声をかけてもらうことで、子どもは少しずつ気持ちを整理しやすくなります。
子どもが感情を安心して表せる環境は、心の成長の土台になります。泣いている時間も、子どもにとっては気持ちを整理する大切な時間のひとつなのだと考えながら、ゆっくり寄り添っていきたいですね。
なお、怒られて泣いてしまったときの声かけや、叱ったあとの関わり方については、別の記事で詳しく紹介しています。
子どもの気持ちは、場面によって大きく変わります。「怒っているとき」「不安なとき」「失敗したとき」など、状況ごとの声かけについても別の記事で紹介していきます。気になるテーマがあれば、ぜひあわせて参考にしてみてください。
